日本栄養・食糧学会誌
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肥料の違いによる栽培トマトの物性
吉田 企世子森 敏長谷川 和久西沢 直子熊沢 喜久雄
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1984 年 37 巻 3 号 p. 267-272

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抄録

有機質肥料として, なたね油かすおよび骨粉を用いて栽培したトマト (品種: サターン) の示す物性を, 無機質肥料および有機無機混合肥料で肥培されたそれとの比較において検討した。その結果は次のとおりであった。
1) 果肉の硬さは, 果頂部, 果底部とも有機区が最も硬く, 無機区, 混合区はだいたい同じ傾向であった。これは, 官能検査において記述法により表現された評価と一致した。
2) 凝集性, 咀しゃく性は, 果頂部, 果底部とも有機区が最も大きく, 混合区, 無機区の順にその差が示された。
3) 付着性は, 果頂部は有機区, 無機区に差はなく, 果底部は混合区, 無機区, 有機区の順に大きかった。
4) 果皮の硬さは, 果頂部は有機区が大きく, これは官能検査の評価と一致した。
5) 有機区は果頂部と果底部の果皮の硬さが均一であったが, 無機区および混合区ではその差が大きかった。
以上のことから, 有機区のトマトは果肉がしまっており, また果皮も硬く, これは嗜好性に影響するだけでなくトマトの貯蔵性も高めていると考えられる。

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