日本栄養・食糧学会誌
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乳酸発酵粉乳投与時のラットにおける胃内窒素形態分布および門脈血漿遊離アミノ酸濃度
岩渕 明牧野 久美子務台 方彦神立 誠
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1986 年 39 巻 6 号 p. 449-455

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抄録

ラットに無処理粉乳および乳酸発酵粉乳をそれぞれ給与した後, 経時的に胃内窒素形態分布と門脈血漿遊離アミノ酸濃度を調べた。
無処理粉乳区および発酵粉乳区のいずれでも, 胃内窒素の主体は純タンパク態窒素であった。胃内全窒素に占める非タンパク態およびアミノ態窒素の割合は, 粉乳給与O. 5時間後から4.5時間後まで, いずれも発酵粉乳区のほうが無処理粉乳区より有意に高かった。胃内容物の胃滞留時間は, 発酵粉乳区のほうが無処理粉乳区よりも短い傾向が認められた。胃内pHは胃底部では, 発酵粉乳区のほうが無処理粉乳区より有意に低かったが, 幽門部では両区の間に有意な差が認められなかった。
門脈血漿遊離アミノ酸濃度は, 発酵粉乳区では粉乳給与1時間後に最高濃度に達したが, 無処理粉乳区の最高濃度は4.5時間後であった。1時間後の濃度は発酵粉乳区のほうが, また4.5時間後は無処理粉乳区のほうがそれぞれ有意に高かった。
これらの結果から, 牛乳の乳酸菌による発酵処理は, 乳タンパク質の消化吸収に促進的に作用していることが示された。
なお, 本論文の要旨は1984年第38回日本栄養・食糧学会総会において発表した。

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