日本栄養・食糧学会誌
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ラットの血液, 肝臓成分に及ぼす飼料中大豆リン脂質添加レベルの影響
小畠 義樹黒田 圭一山口 迪夫
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1988 年 41 巻 1 号 p. 23-28

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抄録

生体内でのリン脂質の利用と生理効果を検討するために10%オリーブ油を含む20%カゼイン基礎飼料の10%オリーブ油区分と大豆から抽出された精製リン脂質を入れ換えて2.5, 5, 7.5%の割合で大豆リン脂質を添加した3種の飼料群を設けた。また別に5%大豆油を添加した群と対照の10%オリーブ油群を設けた。4週間飼育後各群間の血清, 肝臓中の成分について比較した。
これら5群間の体重増加量と飼料摂取量には有意差はなかったが, 7.5%リン脂質群ではそれらはやや抑制される傾向が見られた。赤血球, 白血球数およびヘモグロビン濃度は変化がなかった。血小板数はばらつきが大きかったので有意差はなかったが, リン脂質添加量に応じて増加する傾向が見られた。血清の総脂質, 総コレステロール, 中性脂肪, リン脂質α-トコフェロール等は5%以上のリン脂質添加または大豆油添加群で対照群より低値を示した。しかし肝臓中の総コレステロールはリン脂質添加のみにより著しい低値を示し, 大豆油群では低値を示さなかった。血清中のGOT, GPT, LDH, 等の濃度は各群間に大きな差は見られなかったが, LDHは5%リン脂質添加群と大豆油群で上昇が見られた。総タンパク質, A/G比, クレアチニン濃度等は各群間に差はなかった。
これらの結果から, 大豆リン脂質を飼料中に数%以上の多量を添加した場合その脂肪酸の影響も大きいが, リン脂質特有の生理効果が現れると考えられた。

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