日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
ISSN-L : 0287-3516
41 巻, 1 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 大谷 八峯
    1988 年 41 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
  • 斎須 久美代, 成瀬 克子, 徳久 幸子
    1988 年 41 巻 1 号 p. 7-9
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    健康な女子2名にD-Phe-d5を8mg/kg体重, 他の必須アミノ酸および低タンパク質食とともに経口負荷し, 1, 4, 8時間後に採血した。血漿中の遊離フェニルアラニンをHPLCによりDL分割し, L画分について, Phe-d5/Phe-d0モル比をGC-MS-MIDにより測定した。
    この結果から, 血漿中のD-Phe-d5および, これから変換したL-Phe-d5の量を, 血漿中に天然に存在しているL-Phe-d0とのモル比として算出した。
    負荷後の血漿中のD-Phe-d5/L-Phe-d0モル比の最低は負荷1時間後の0.38 (被験者S: 0.16, T: 0.60の平均値), 最高は負荷4時間後の0.78 (S: 0.72, T: 0.84) であった。-Phe-d5/L-Phe-d0モル比の最低は負荷1時間後の0.015 (S: 0.014, T: 0.015), 最高は負荷4時間後の0.043 (S: 0.045, T: 0.040) であった。以上のごとく, 血漿中に遊離L-Phe-d5の存在が確認され, D-フェニルアラニンがL-フェニルアラニンに変換することが明らかとなった。
  • 四方田 千佳子, 一色 賢司, 加藤 丈夫, 神蔵 美枝子, 白石 由美子, 西島 基弘, 林 弘道, 深澤 喜延, 横山 剛, 米田 孟弘 ...
    1988 年 41 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    1) 従来の加工食品に対する食品添加物摂取量調査用のマーケットバスケット方式に準じ, 生鮮食品による6食品群を作成し, 全国10機関で調製した試料について, 8種有機酸, 4種核酸, オルトリン酸, 安息香酸等の天然にも存在する23種食品添加物の分析を行い, 生鮮食品由来の1日摂取量を求めた。
    2) 調査対象物質の生鮮食品からの摂取量を, 加工食品からの摂取量と比較したところ, グリセリン, 酢酸, 安息香酸, コハク酸等では加工食品からの摂取量中に, かなりの人為的添加量を含むと類推されたが, 23種食品添加物の約半数はほとんどが天然含量に由来すると考えられていた。
  • 本郷 哲郎, 鈴木 継美, 石田 裕美, 鈴木 久乃
    1988 年 41 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    若年女子成人42人を対象に頭髪を頭皮直上で切断, 採取した。これを1.5cmずつの細片に切って亜鉛濃度 を測定し, 頭皮直上からの長さによる変動を明らかにするとともに, 毛髪採取の4カ月前に得た血漿および尿中の亜鉛濃度と比較した。また, 市販されている洗髪, 整髪用化粧品中の亜鉛濃度を測定した。
    1) 市販されている洗髪用化粧品のうち一部のものが高濃度の亜鉛を含有していた。
    2) 頭皮直上から1.5cmまでの部分の毛髪中亜鉛濃度の算術, 幾何平均値 (標準偏差) はそれぞれ193 (33), 191 (1.2) μg/gであった。
    3) 頭皮に近い3部位の毛髪中亜鉛濃度の分布で, 全体の分布からはずれて高値を示した者が何例かあった。
    4) コールドパーマの有無にかかわらず, 毛髪の長さが増すとともに亜鉛濃度が急速に上昇している者がみられた。
    5) 毛髪中亜鉛濃度と血漿あるいは尿中亜鉛濃度との間には, 血液あるいは尿採取時に対応する毛髪部位を用いても有意な相関はなかった。
    以上の結果より,
    1) 毛髪中亜鉛濃度の変動に対しコールドパーマの影響はみられなかった。
    2) 毛髪中亜鉛濃度の個人別, 部位別変動は亜鉛含量の高い化粧品の使用による毛髪への亜鉛の吸着による。
    3) 外部からの汚染の影響が除かれた場合にのみ, 毛髪中亜鉛濃度は亜鉛の栄養状態の指標として有用となる可能性がある。
  • 小畠 義樹, 黒田 圭一, 山口 迪夫
    1988 年 41 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    生体内でのリン脂質の利用と生理効果を検討するために10%オリーブ油を含む20%カゼイン基礎飼料の10%オリーブ油区分と大豆から抽出された精製リン脂質を入れ換えて2.5, 5, 7.5%の割合で大豆リン脂質を添加した3種の飼料群を設けた。また別に5%大豆油を添加した群と対照の10%オリーブ油群を設けた。4週間飼育後各群間の血清, 肝臓中の成分について比較した。
    これら5群間の体重増加量と飼料摂取量には有意差はなかったが, 7.5%リン脂質群ではそれらはやや抑制される傾向が見られた。赤血球, 白血球数およびヘモグロビン濃度は変化がなかった。血小板数はばらつきが大きかったので有意差はなかったが, リン脂質添加量に応じて増加する傾向が見られた。血清の総脂質, 総コレステロール, 中性脂肪, リン脂質α-トコフェロール等は5%以上のリン脂質添加または大豆油添加群で対照群より低値を示した。しかし肝臓中の総コレステロールはリン脂質添加のみにより著しい低値を示し, 大豆油群では低値を示さなかった。血清中のGOT, GPT, LDH, 等の濃度は各群間に大きな差は見られなかったが, LDHは5%リン脂質添加群と大豆油群で上昇が見られた。総タンパク質, A/G比, クレアチニン濃度等は各群間に差はなかった。
    これらの結果から, 大豆リン脂質を飼料中に数%以上の多量を添加した場合その脂肪酸の影響も大きいが, リン脂質特有の生理効果が現れると考えられた。
  • 無菌動物・肥満動物に対する効果
    津田 とみ, 大久保 朋一, 津田 道雄, 勝沼 恒彦, 沢村 貞昭
    1988 年 41 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    腸内常在菌に由来する食欲抑制物質 (FS-T) をconventional (conv.) ラット, マウスからみつけた。そこでフンから検出された6種の好気性腸内菌を個別に培養したところ, Proteus mirabilisEscherichia coliの培養液上澄に強いFS-T活性が認められた。Pseudomonas aeruginosaでは弱く, 他の3種にはまったく認められなかった。このことから好気性腸内常在菌のうちではE. coliP. mirabilisなどが主なFS-T産生菌であろうと考えられた。
    FS-Tはgerm-free (gf.) フンにはまったく存在せず, conv. では飼料の違いでフン中の含有量が変わった。しかし, conv. とgf. でFS-Tによる摂食抑制効果に差はなかった。
    FS-Tの摂食抑制率は, Wistarラットにたいしては0.7 unit/100g BWで44.7%であった。Zuckerラット肥満型 (obese) では同じく0.7 unit/体重100gで44.0%であったが, 非肥満型 (lean) ラットではそれより低く24.7%であった。
    FS-T投与による血中成分の変動をobese, leanとWistarとで比較したが, FS-T投与で3者とも血液中のアミノ酸が減少し, グルカゴンはWistarでは変化はないがobeseとleanで2.5倍に増加した。FS-Tは内分泌や代謝にも作用している可能性が示唆された。
  • 竹内 政保, 川村 三郎, 田中 進, 太田 冨貴雄, 綾野 雄幸
    1988 年 41 巻 1 号 p. 35-42
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    wet milling工程から採取したCBを精製してDF含量を高めたRCB (NDFとして85.2%) をラットに投与し, 成長や可消化栄養素の消化吸収に及ぼす影響, およびRCBの消化管内での形態変化について調べた。
    1) RCBを飼料にNDF含量として5%および10%レベルで添加して投与したところ, 両群とも成長は恒常であった。しかし, 飼料効率は10%群で, タンパク質効率は両群において対照群より有意に低い値を示した。
    2) RCBは可消化栄養素の消化吸収を阻害したが, タンバク質の消化吸収に与える影響が大きかった。RCBの見かけの消化率は, NDFとして求めると, 5%群18.5%, 10%群13.8%であった。
    3) ラットの消化管を通過したRCBを走査型電子顕微鏡で観察した結果, RCBは細胞壁が薄くなり, 細胞内壁の平滑さが失われていた。このことは, 観察結果と糞から回収したRCB標品の分析から, 消化管内において非セルロース多糖類が溶出すると推定された。
  • Neutral Detergent法と酵素-重量法について
    印南 敏, 池上 幸江, 中村 カホル, 土橋 文江, 綾野 雄幸, 管原 龍幸, 森 文平, 中村 尚夫, 石原 英子, 手島 節三, 米 ...
    1988 年 41 巻 1 号 p. 43-49
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    DFの簡便な定量法として従来から用いられてきた中性デタージェント法 (ND法) と, 最近提案された酵素-重量法について, それぞれ数機関によるクロスチェックを行い, 問題点を明らかにし, その改良を試みた。
    ND法は, 5種の同一試料 (穀類) を用いて6機関で, まずはじめにそれぞれの機関における方法で分析を行った。その結果にもとづいて酵素反応時間を短縮するためにターマミル60Lを用い, また濾過補助剤としてセライトを用いることによって濾過時間の短縮をはかり, 改めて2回目の分析を行ったところ, 変動係数に大きな改良がみられた。
    酵素-重量法は, ProskyらおよびAOAC法を基本として, 試料の処理方法, セライトの洗浄, 酵素反応時間, 計算式などを改良した。この方法により, 穀類, 豆類および精製DFなど6種の同一試料を4機関で分析した。その結果, Proskyらの報告にくらべて変動係数の大幅な改善がみられたが, 精白米のようにDF含量が少なく, デンプンの多い食品では変動係数が大きくなることがわかった。
    酵素-重量法とSouthgate法を5種の試料に適用したところ, 同一試料についての両者で求めた総DF量の値の差は比較的小さかった。しかし大麦については, ND法の値が酵素-重量法の値のほぼ2分の1であったので, 酵素-重量法とSouthgate法で分画を試みたところ, 水溶性ヘミセルロースが多いことがわかった。また, 大麦DF各画分の構成糖の分析も行った。
  • 岡崎 秀, 礒部 明彦, 鹿野 由美子, 木村 修一
    1988 年 41 巻 1 号 p. 51-54
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    The inhibitory effect of pheophorbide on the mutagenicity of benzo (a) pyrene with or without light irradiation was studied. Without light irradiation, 250 μg pheophorbide reduced the mutagenicity of benzo (a) pyrene to about 90%. This inhibitory effect was the same or stronger than that of hemin. On the other hand, pheophorbide was rendered mutagenic by exposure to light, and the mutagenicity was 40% that of 5 μg benzo (a) pyrene. When 5 μg benzo (a) pyrene coexisted with 250 μg pheophorbide under light irradiation, the mutagenicity of benzo (a) pyrene was apparently reduced to 30% because of the antimutagenic effect of pheophorbide.
  • モルモット空腸内在神経叢のエンテログリア細胞とエンテロニューロンの分布
    鈴木 道子
    1988 年 41 巻 1 号 p. 55-59
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    モルモット空腸の筋層間神経叢と粘膜下神経叢におけるエンテログリア細胞とエンケファリンニューロンおよびPHIニューロンの局在を壁開伸展標本を用いたPAP法で免疫染色し, 光学顕微鏡で観察した。
    腸管神経叢はエンテログリア細胞とエンテロニューロンを基本とする網目である。筋層間神経叢では, 神経節や結合索が規則的に配列して網目をつくっていた。そして, この神経叢の神経節には, エンケファリンニューロンの細胞体が多数分布していた。粘膜下神経叢では, 神経節は小さく, 結合索の径は細く, 神経節や結合索の並び方に規則性は見いだせなかった。PHIニューロンの細胞体は, 主として粘膜下神経叢の神経節に分布していた。
  • 山内 清, 門田 利作, 村田 寿, 大橋 登美男, 芳賀 聖一, 平川 良子, 那須 裕三
    1988 年 41 巻 1 号 p. 60-64
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    市販ウィンナーソーセージの脂質性状を, 脂質, 飽和脂肪酸 (SFA), モノ不飽和脂肪酸 (MUFA), 高度不飽和脂肪酸 (PUFA), コレステロール (Chol) およびα-トコフェロール (α-Toc) の含量ならびに2-チオバルビツール酸 (TBA) 値を通して調査した。
    脂質性状は, 食肉加工会社および日本農林規格 (JAS) の等級によって相違が認められた。上級製品の脂質含量は標準に比較して有意に高く, このことは上級製品の有意に高いSFA, MUFA, PUFAおよびCholの含量に反映した。他方, 上級製品のα-Toc量は, 標準に比較して有意に低かったが, 上級製品のTBA値は標準に比較して有意に低く, 標準製品が脂質過酸化を受けやすいことを示唆した。
    上級および標準ウィンナーソーセージを合わせた分析結果では, 脂質量とChol量との間およびTBA値とPUFA>18: 2 (二重結合を3個以上有するPUFA) 量との間には, それぞれ有意な正の相関が示されたが, α-Toc量 (ならびにα-Toc/g PUFAおよびα-Toc/9PUFA>18: 2量) とTBA値との間には有意な相関を認めなかった。
feedback
Top