日本栄養・食糧学会誌
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蔬菜類の水可溶性アラビノガラクタンプロテインの分布状態と性質
安福 英子木戸 詔子東 順一越島 哲夫
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1988 年 41 巻 6 号 p. 473-480

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抄録
先にキャベツ葉について著者らが開発した新しい水可溶性成分の抽出法を13種類の野菜に適応し, 得られた水可溶性成分の中に含まれるアラビノガラクタンプロテイン (AGP) の分子量分布と化学組成分析を行い, 以下のことが明らかになった。
1) 試料として用いたすべての野菜には分子量の異なる2種のAGP (A-IおよびA-II) が存在する。また, これらA-IおよびA-IIの溶出パターンはタイプA [茎菜類, 淡色葉菜類, 果菜類, 豆類 (莢) および根菜類], タイプB [豆類 (種子) およびフキ (茎)] およびタイプC (緑色葉菜類) の三つに分類できる。これらのデータの比較検討から葉のA-IおよびA-IIの分布状態は緑化またはそれに伴う繊維化によって影響されていることが示唆された。
2) 各野菜から分取したA-IおよびA-IIの化学的性質を分析した結果, A-Iは分子量20~60万, 中性糖含量75~85%, タンパク質含量15~25%であり, A-IIは分子量9~13万, 中性糖含量80~90%, タンパク質含量10~20%であることがわかった。A-IおよびA-IIの糖部分はいずれもアラビノースとガラクトースで構成されるアラビノガラクタンであり, A-IおよびA-IIともにそのガラクトース/アラビノースの比は野菜の種類により大きく変動した (0.5~2.0)。また, A-IおよびA-IIはいずれもAGPに特有なヒドロキシプロリンとセリンを含み, かつグリシンおよびアラニン含量が高い点で特徴的であるが, ヒドロキシプロリン含量は野菜の種類によって大きく変動した。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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