日本栄養・食糧学会誌
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低タンパク質食のクロマチン非ヒストンタンパク質に及ぼす影響
大山 珠美佐久間 慶子
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1989 年 42 巻 1 号 p. 33-38

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抄録

低タンパク質食が肝臓細胞に与える影響を4週齢の雄ラットを用いて調べた。低タンパク質食群は3%カゼイン含有, コントロール食群は25%カゼイン含有の餌を用いて10日間の飼育を行った。
肝臓のDNA, RNA, タンパク質定量の結果, 肝臓1グラム当たりのDNA量は低タンパク質食により減少を示した。RNA量は変動がみられなかったが, DNA当たりの核RNA量は有意に増加した。核タンパク質量は1.4倍もの増加を示した。核タンパク質のクロマチンタンパク質を尿素およびヒドロキシルアパタイトを用いてヒストンタンパク質, 非ヒストンタンパク質 (NHP) に分画し, NHPについては尿素可溶性NHPとDNA結合性NHPにさらに分画を行った。その結果, 核タンパク質にみられた増加は尿素可溶性NHPの増加によるものであった。
細胞質タンパク質, 尿素可溶性NHPおよびDNA結合性NHPについて2次元電気泳動を行った結果, 低タンパク質食群において細胞質タンパク質は, 分子量30,000, 等電点6.8, および分子量20,000, 等電点7.0のタンパク質に減少がみられた。尿素可溶性NHPは分子量約30,000, 等電点7.0付近の3種のタンパク質に減少がみられた。DNA結合性NHPタンパク質電気泳動パターンには, 変化が見られなかった。

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