日本栄養・食糧学会誌
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揚げ油へ移行したコレステロールの分解と油脂の変質に及ぼす影響
梶本 五郎嘉ノ海 有紀津島 由布子釜田 康晴吉田 弘美芝原 章
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1993 年 46 巻 2 号 p. 167-173

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抄録

豚肉や鶏卵を主材とした種物 (蛋捲, 中国料理ダヌチュワス) を大豆油で揚げ, 揚げ油へのコレステロールの移行, ならびに脂肪酸メチルおよび油脂に添加したコレステロールの熱分解と油脂の酸化に及ぼすコレステロールの影響について検討した。
1) 蛋捲の揚げ量が多くなるにしたがい揚げ油の変質度はしだいに高くなり, 揚げ油中のトコフェロールは減少した。
2) 揚げ油にコレステロールの存在することをGLCおよびGC-MSで確認した。
3) 蛋捲の揚げ量が多くなるにしたがい, 揚げ油中にコレステロール量は増加した。一方, ステロール組成では, コレステロールの増加に伴いカンペステロール, スチグマステロールおよびβ-シトステロールなどの割合は減少した。
4) 脂肪酸メチルおよび大豆油に添加したコレステロールは加熱により減少した。減少割合はリノール酸メチル中で最も高く, ついで, オレイン酸メチル, 大豆油の順であった。概してコレステロールは, トコフェロール, β-カロチン, フラボン, その他各種の抗酸化剤に比べて熱安定性は高かった。
5) コレステロールは油脂の酸化促進, あるいは酸化防止の両作用のいずれも示さなかった。

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