日本栄養・食糧学会誌
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種々の豆類種子のアリューロン層の構造とその高グリシンタンパク質含有量
松井 美預子中井 理江豊沢 功福田 満
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1995 年 48 巻 6 号 p. 477-483

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抄録

種々の豆種子を用いて, アリューロン層組織の構造とアリューロン層組織に含まれるGRP (高グリシンタンパク質) の含有量を調べ, 次に示す結果を得た。
1) ダイズ (Glycine max品種エンレイ), 黒ダイズ (Glycine max, 品種タンバグロ), ツルマメ (Glycine soja) のアリューロン層細胞壁は, 赤インゲンマメ (Phaseolus vulgaris, 品種タイショウキントキ), 斑入インゲンマメ (Phaseolus vulgaris, 品種トラマメ) のものよりも厚みが増していた。
2) ダイズのアリューロン層細胞壁に特異的なGRPは主としてペクチン画分に存在した。
3) 3種のダイズのアリューロン層の熱水可溶性画分のGRP含有量は2種のインゲンマメのものより高かった。
4) ツルマメや黒ダイズから抽出したGRPの推定分子サイズはそれぞれダイズと同じ約30kDaであった。以上の結果から, ダイズ属植物のアリューロン層のGRPはアリューロン層の細胞壁構造強化に何らかの役割を担っていると推察した。

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