日本栄養・食糧学会誌
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食塩感受性高血圧ラットの脳卒中発症および血圧に及ぼす塩素の影響
加藤 誠二
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2001 年 54 巻 3 号 p. 147-153

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抄録

食塩感受性高血圧ラットの脳卒中発症および血圧に及ぼす塩素の影響を検討した。脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット (SHRSP) およびDahl食塩感受性 (DahlS) ラットに3% NaCl食を与えた群, および3% NaCl食に5%キトサンあるいは5%アルギン酸を添加した群を用いて実験を行った。キトサンとアルギン酸はそれぞれ, 腸管からの塩素あるいはナトリウム吸収を抑制する性質をもつことが知られている。SHRSPにおいて, キトサン添加食は脳卒中発症を有意に抑制し, アルギン酸添加食は脳卒中発症を抑制する傾向にあったが, 有意ではなかった。DahlSラットにおいて, キトサン添加食は食塩誘発性高血圧を改善したが, アルギン酸添加食は血圧に影響しなかった。DahlSラットにおいて, 血清塩素濃度およびアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 活性は高食塩食摂取1時間後に上昇し, この両者の上昇はキトサン添加食では抑制された。以上の結果より, 塩素が食塩感受性高血圧ラットの脳卒中発症および血圧に対して, 促進的に作用することが示され, この塩素による血圧上昇は, 血清ACE活性の亢進に起因することが示唆された。

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