日本栄養・食糧学会誌
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高機能性食品因子, アントシアニン類の新しい生理的意義に関する基盤研究
平成15年度日本栄養・食糧学会奨励賞受賞
津田 孝範
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2004 年 57 巻 1 号 p. 35-43

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抄録

アントシアニンは食用色素として利用されており, 日常的に摂取する多くの植物性食品に含まれている。しかしアントシアニンの生理機能については研究が遅れていた。著者はアントシアニンのもつ生理機能に注目し, 個体レベルでの証明を試みた。その結果, ラットにおいてシアニジン3-グルコシド (C3G) は抗酸化物質として機能することを明らかにした。ヒトおよびラットにおいてC3Gあるいはルチノース配糖体は吸収され, 直接血中に検出されることを明らかにした。ラットでは吸収されたC3Gは生体内で分解しプロトカテキュ酸を生じ, 組織ではメチル化された。次にアントシアニンの新たな生理機能を検討した結果, マウスにおいて紫トウモロコシ色素添加食 (0.2%C3G) の摂取は, 高脂肪食負荷における体重増加, 脂肪組織重量および脂肪細胞の肥大化を抑制し, 高脂肪食による高血糖, 高インスリン, 高レプチン血症を正常化した。以上の結果はアントシアニンの生理機能性食品因子としての重要性と新たなファンクショナルフードの創製の基盤を示すものと考えられる。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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