日本栄養・食糧学会誌
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ラットにおけるメシマコブ菌糸体の血糖値上昇抑制作用
石原 伸治渡辺 敏郎Tapan Kumar Mazumder永井 史郎辻 啓介
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2005 年 58 巻 4 号 p. 225-229

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抄録

メシマコブ (Phellinus linteus) は, 桑の木に選択的に寄生する多年生の木材腐朽菌である。近年, メシマコブの液体培養技術が確立され, メシマコブ菌糸体は子実体と同様の抗腫瘍活性を有することで知られている。このメシマコブ菌糸体について, 抗糖尿病作用を評価するための試験を行った。in vitro の試験として, メシマコブ菌糸体熱水抽出エキス (Phellinus linteus extract (PLE)) において, α-グルコシダーゼ阻害活性を測定した。その結果, メシマコブ菌糸体は, 子実体と同様酵素活性を阻害した。in vivo の試験として, 正常ラット, STZ糖尿病ラットによる経口糖負荷試験を行ったところ, PLEの投与により, 血糖値上昇を抑制する傾向が認められ, 正常ラットではショ糖負荷30分後, STZ糖尿病ラットではショ糖負荷60分後の血糖値を有意 (p<0.05) に抑制した。これらの結果から, メシマコブ菌糸体は糖尿病の予防に有効であることが示唆された。

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