日本栄養・食糧学会誌
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生体内脂質過酸化に及ぼすシイタケ菌糸体抽出物 (L.E.M.) の影響
中村 リサ渡邊 愛子猪木 彩子為定 誠
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2005 年 58 巻 4 号 p. 217-223

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抄録
シイタケ菌糸体抽出物 (extract of cultured Lentinus edodes mycelia: L.E.M.) の生体内脂質過酸化に及ぼす影響を検討した。L.E.M.の抗酸化活性をチオシアネート法で測定した結果, リノール酸酸化に対する抑制効果が認められた。また, 生体内の脂質過酸化反応に及ぼす影響を調べた。ラットに多価不飽和脂肪酸の多い魚油を過剰投与すると血清中の過酸化脂質が著しく増加したが, あらかじめL.E.M.を投与することにより抑制された。また, 過酸化処理したコーン油はラットに軽度肝障害を惹起させたが, L.E.M.は血清トランスアミナーゼ活性および過酸化脂質の上昇を有意に抑制し, 軽度肝障害に対する防御効果を示した。L.E.M.は抗酸化作用を有することで生体内における過酸化脂質の生成を抑制し, 脂質過酸化反応が誘導する軽度肝障害に対し有効であることが示唆された。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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