2026 年 38 巻 1 号 p. 555-558
火星を広域かつ機動的に探査する手段として,航空機による探査が有力視されている.しかし,火星特有の不確実性を伴う環境下における高速飛翔体の制御は困難である.本研究では,火星探査航空機飛行時に生じうる不確実性の一つとして,風擾乱が飛行履歴に及ぼす影響を調査するための飛行経路ロバスト最適化を実施した.最適化には進化計算法を用い,不確実さの定量化にPolynomial Chaos Expansion(PCE)を採用した.評価では,事前に取得・構築した空力データベースを時系列的に呼び出す形で運動方程式を解く,空力–飛行連成計算を行った.ロバスト最適化の結果,強い追い風が吹くと機首上がりが促進され,飛行時間が伸長されることが分かった.一方,強い向かい風は機首上げを阻害し,飛行時間と距離を短縮することも理解された.これらの知見は,地球上での実証実験や将来の火星探査ミッション設計における制御プロファイルおよび探査経路計画戦略に対して重要な指針を提供する.