1998 年 12 巻 3 号 p. 267-272
アトピー性皮膚炎とツベルクリン反応 (ツ反) との関係について調査, 検討を行った. ツ反陽性者 (発赤長径10mm以上) の比率は, アレルギー性疾患 (アトピー性皮膚炎, 気管支喘息, アレルギー性鼻炎, アレルギー性結膜炎) のない児 (NA群) 524人/760人 (69%), アトピー性皮膚炎以外のアレルギー性疾患の既往がある児, あるいは罹患している児 (AL群) 97人/146人 (66%), アトピー性皮膚炎の既往がある児, あるいは罹患している児 (AD群) 53人/97人 (55%) であった. AD群はNA群に比較し, ツ反陽性率が有意に低かった. 治療を受けている者を除いても, AL群, NA群に比較し, AD群のツ反陽性率は低かった. また, BCG接種1年後のツ反陽転率をみても, AD群はNA群に比較して低かった. 一方, 48時間後のツ反陰性者のうち, 72時間後に陽性となった者の割合は, 各群間に有意な差はなかった. アトピー性皮膚炎児におけるツ反陽性率の低下, BCG陽転率の低下は, アトピー性皮膚炎の病態を反映していると考えられた.