小児歯科学雑誌
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Streptococcus mutansの免疫によるラット実験齲蝕の抑制
異なる免疫方法による齲蝕抑制効果の比較
森崎 市治郎加藤 一生石田 良介祖父江 鎮雄
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1987 年 25 巻 3 号 p. 547-553

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抄録
S.mutans抗原で,ラットを(i)胃内に注入する(経口免疫),(ii)静脈あるいは(iii)働顎下腺近傍の皮下に注射する方法で免疫した。ラットにS.mutans6715を感染させ,齲蝕誘発性飼料を与えて飼育し,免疫による齲蝕抑制効果と抗体反応を比較した。
非免疫・感染対照群に比べて,免疫ラットの齲蝕は抑制されていた。顎下腺部に免疫したラットで齲蝕抑制効果が最も大きく,次いで静注免疫群,経口免疫群の順になった。
血清および唾液中の抗S.mutans抗体価は,皮下と静注免疫群で,IgG抗体が著しく上昇していた。免疫群の抗S.mutans IgA抗体は,非免疫群に比して血清,唾液のいずれでも増加していた。
S.mutans抗原の免疫によって,ラットの齲蝕は抑制されることが示された。その効果は経口免疫よりも非経口免疫の方が大きく,また抗原特異的な抗体反応と関連していた。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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