抄録
Regional odontodysplasiaはエナメル質と象牙質とに著しい形成不全と石灰化不全をきたす疾患であり,レントゲン写真に特有の幻影状の像を程する。発症は非対称性,限局性で上顎前歯部に多発することが多い。今回1萌出遅延を主訴に来院した7歳9か月男児を臨床的診査およびレントゲン診査したところ,123のregional odontodysplasiaと診断した。
この歯から作成した脱灰標本と非脱灰標本を病理組織検査した結果,その発生と成長の過程において,エナメル質はその石灰化の過程で,また象牙質は基質形成の過程から強く障害されていることが示唆された。