抄録
成人がヒト(女性,小児,男性)の動きをどのように観察するかを知るために,ヒトが立ち止まった状態から歩くという動き,ヒトを光点(女性光点,小児光点,男性光点)の散らばりで表現した動きについてテスト映像化した.そしてビジコンアイカメラを用いて被験者の眼球運動を測定,分析,検討し以下の結論を得た.
1.総停留回数,総停留時間,第1停留点の平均反応時間,ヒトおよび光点と背景への停留回数,停留時間,ヒトおよび光点を上部,下部に分けた停留回数から,ヒトと光点では被験者の眼球運動に特徴的な差がないことがわかった.
2.歩行時のヒトおよび光点への停留点出現パターンから,被験者の多くはヒトおよび光点を歩行開始初期の段階で,また固視,追視により見ていたことがわかった.
3.光点映像について停留部位別の被験者数と質問の回答を照合した結果,光点への停留点が出現した被験者は止まった状態では「わからない」,歩行では「ヒトが歩いている」と回答した.また背景に停留点が出現した被験者からも同様の回答が得られた.以上より,成人はヒトおよび光点が(立ち)止まった状態では眼球運動の結果に関わらずヒトと光点で認識に差があり,歩行ではヒトおよび光点に関わらず固視,追視によりヒトの歩行を認識していることがわかった.これらの結果は,歯科診療における成人や小児の動きという非言語的コミュニケーションを理解する上で重要な示唆を与えているといえる.