2001 年 39 巻 5 号 p. 996-1001
各病型の歯周疾患において,特定の細菌種が関与していることは良く知られている。しかしながら,小児の歯周疾患における口腔微生物叢の生態および発症における歯肉縁上プラークの役割は,ほとんど明らかにされていない。そこで,小児(2歳7か月~16歳)の歯肉縁上プラーク中の歯周病原性細菌の検出をそれぞれの細菌に特異的モノクローナル抗体を用いたイムノスロットブロット法にて行った。その結果P.gingivalisに陽性反応を示したプラークの割合は経年的に増加したが,A.actinolnycetemcomitansのそれは,8歳~12歳まで増加し,以後13歳~17歳では減少していた。これらの結果から,小児の歯肉縁上プラーク中においても歯周病原性細菌が棲息するとともに,年齢の増加とともに,主要歯周病原性細菌のP.gingivalisおよびA.actinomycetemcomitanの遷移がみられることが明らかになった。