オールインワンステップボンディング材(リアクトマーボンド,ワンナップボンドF,クシーノCFボンド,Prompt L-Pop)の細胞親和性をラット歯髄由来細胞を用いて検討した。また,フッ素徐放量を測定し,以下の結果を得た。
1.細胞に対する親和性はリアクトマーボンドが最も良く,次にワンナップッボンドF,クシーノCFボンド,Prompt L-POPであった。
2.蒸留水にPrompt L-PoPを浸漬した24時間後のpHは強い酸性を示した。いずれの材料も蒸留水中で酸性を示したが,細胞培養液中でのpHは緩衝作用によりアルカリ性にシフトした。これにより,pHの低下は酸性モノマーの溶出によると考えられ,細胞増殖に影響を与えた。リアクトマーボンドとワンナップボンドFは蒸留水中で弱酸性を示したが,細胞培養液中では弱アルカリ性となり,細胞の生育も良かった。
3.ボンディング材から溶出するフッ素量は細胞培養液と蒸留水中での溶出に差がみられ,材料間でも違いがみられた。クシーノCFボンドから多量にフッ素が溶出し,48時間後に急激に減少した。リアクトマーボンドは24時間後から25日目まで17から5ppmの安定したフッ素徐放を示した。prompt L-PoPとワンナップボンドFではわずかであった。
以上の結果から,各種ワンステップボンディング材のラット歯髄細胞への親和性とフッ素徐放の相違が確認された。