小児歯科学雑誌
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人工甘味料添加フッ化物ゲルの臨床応用
小児および保護者へのアンケート
内川 智江北村 智子辻野 啓一郎望月 清志大多和 由美藥師寺 仁
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2003 年 41 巻 3 号 p. 560-565

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抄録

フッ化物歯面塗布は,現在広く行われている齲蝕予防処置法である.東京歯科大学水道橋病院小児歯科外来では,小児がフッ化物歯面塗布を受け入れやすくするため,従来から使用している自院調製の1.23%酸性フッ素リン酸(APF)溶液に加え,人工甘味料が添加された1.23%APFゲルを使用している.今回,当科においてフッ化物歯面塗布を行った小児およびその保護者を対象に,フッ化物歯面塗布の経験,小児が選択した人工甘味添加APFゲルの種類,ならびに塗布後の感想,フッ化物に対する意識などについてアンケートを行った.
フッ化物歯面塗布を受けた小児の年齢は6歳が最も多かった.低年齢児は人工甘味料の味を好む傾向が強く,年齢が高くなるに従い甘味の強いものから清涼感のあるミント味へ嗜好が変化していた.今回の調査で人工甘味料添加APFゲルは概ね好意的に受け入れられていた.人工甘味料添加APFゲルは,塗布時に小児が訴える不快感を軽減することから,本剤の応用は,低年齢児に対する齲蝕予防処置の導入に有効であった.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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