抄録
近年,酸化チタン(TiO2)は化学的に安定した性質と光触媒という特徴的な機能から有機物分解,脱臭,大気浄化,浄水,防汚など様々な分野で実用化が進んでおり,歯科領域においても実用展開が期待される。そこで本研究では,半導体TiO2の光触媒反応に着目してS. mutansに対する酸産成抑制及び抗菌効果について検討を行った。また,太陽電池付与による光触媒反応の増強効果についても検討を行った。
1. 48時間後のカリオスタット液体培地の最終pHは対照群が4.6~4.7(CAT値2.0)に低下したのに対し,TiO2+電池群はpH6.5(CAT値0)であり,TiO2光触媒反応によるS. mutansの酸産成抑制効果が認められた。
2. 48時間後のカリオスタット液体培地中の生菌数はTiO2+電池群において1.1×102CFU/mlであった。対照群(S群と電極なし群において10×105CFU/ml,S+電池群において9.0×104CFU/ml,TiO2群において4.3×104CFU/ml)と比較して最も低く,かつ初期から生菌数が減少し,TiO2光触媒反応によるS. mutansの抗菌効果が認められた。
3.TiO2群およびTiO2+電池群において,カリオスタット寒天培地にpH低下抑制及び抗菌領域が観察された。また,光触媒効果はTiO2電極棒接触部位から周囲にも拡大することが示された。
4.太陽電池を付与することにより,TiO2単独での光触媒効果が増強されることが示された。