2017 年 23 巻 1 号 p. 63-68
症例は50歳代の男性.1994年よりC型肝硬変の診断で当科に通院.2010年頃から血中アンモニア値が200 μg/dl以上を示すようになり,各種薬物治療にもかかわらず肝性脳症で頻回に入退院を繰り返すようになった.腹部CT検査で左胃静脈を供血路とし左腎静脈を排血路とする最大径30 mm大の巨大胃腎短絡路の発達を認めたため,門脈大循環短絡路に起因する肝性脳症と診断,2012年3月にB-RTOを施行した.B-RTO後6か月間はアンモニア値が100 μg/dl前後に低下していたが,その後上昇傾向となり再び肝性脳症で入院を要した.この間,CT検査で下腸間膜静脈を中心とした新たな側副血行路の発達を継時的に観察し得た.門脈大循環短絡路に起因する肝性脳症に対するB-RTOは多くの場合短期的に有効とされているが,本症例のように短絡路径が大きい場合,時間経過に伴い新しい側副血行路の発達による症状再発が認められたことから,治療後の門脈圧亢進に対する対策や背景肝疾患に対する根本的治療が必要と考えられた.