2017 年 23 巻 4 号 p. 281-285
症例は70歳女性.検診で慢性肝障害を指摘され,上部消化管内視鏡検査で食道および胃静脈瘤を認めた.食道静脈瘤に対する内視鏡加療後,胃静脈瘤の増大を認めたため,B-RTO目的に当科紹介となった.造影CTにて胃穹窿部に粘膜面に突出する静脈瘤を認めたが,胃腎短絡は同定できず,胃静脈瘤は左下横隔静脈から肋間静脈を介して,左内胸静脈へ流出していた.左内胸静脈からのアプローチでマイクロバルーンカテーテルを用いてB-RTOを施行し,静脈瘤の完全血栓化が得られた.胃腎短絡が同定できない胃静脈瘤でもCTでアプローチ可能な流出路が同定できれば,マイクロバルーンカテーテルの使用など手技の工夫をすることで,安全にB-RTOを施行可能な場合もある.