2021 年 58 巻 2 号 p. 132-137
【背景】2020年に始まったCOVID19のパンデミックは長期化の様相を呈し,人々の生活様式を一変させた.小児がん患者家族および医療者も同様であり,感染による重症化を回避するため,十分な対策のもとに原疾患治療を進めている.【方法】九州・沖縄ブロック小児がん拠点病院連携病院に,(COVID19,第1波後)2020年6月および(第2波後)9月の2回にわたり,①COVID19の経験,②診療への影響,③患者および医療従事者への社会的・精神的影響につき調査を行い,毎月施行されている拠点病院連携病院TV会議において議論した.【結果】2020年6月は16施設,9月は17施設から回答を得た.COVID19感染例はなかった.原疾患治療の変更を余儀なくされた例では転帰への影響はなかった.全施設で面会・外泊制限が行われ,親の会,ボランティア活動,保育士・CLS,プレイルーム・院内学級運営にも影響が生じた.多くの患者家族に精神的問題を認め,外来患者数は減少,通学に関する不安も寄せられた.6施設で遠隔診療が行われた.第1波から第2波にかけて制限は一部緩和され,外来受診者数も元に戻りつつある.【まとめ】COVID19パンデミックにより,小児がん患者にはこれまで以上の精神的負担がかかっている.小児における重症化は稀だが,治療変更,中断による原疾患への影響が懸念される.十分な感染対策を行いながら,少しでも生活の質を担保できるよう,意義のある制限(および緩和),メンタルケアおよび情報発信が求められる.