2022 年 59 巻 1 号 p. 44-49
Infantile fibrosarcoma(IF)は乳児に発生するまれな軟部組織肉腫であり,中間群腫瘍とされ生命予後は良好である.広範囲切除や化学療法による晩期障害を回避するために,治療法の選択が検討されるようになってきた.我々は生後3か月で左下腿IFと診断された女児を経験した.vincristineとactinomycin-DによるVA療法を先行し,順調に腫瘍縮小が得られたが,3コース中に重篤な肝機能障害と播種性血管内凝固症候群を認め,それ以降の化学療法は中止した.無治療経過観察を続けたところ腫瘍はさらに縮小を認め,後遺症なく5年以上経過できている.IFに対する治療選択については,今後さらに症例蓄積をしてより確立されることが望まれる.