主催: 周産期学シンポジウム抄録集
会議名: 周産期学シンポジウム:21 世紀の周産期医療システム:問題点と展望
回次: 21
開催地: 東京都
開催日: 2003/01/17 - 2003/01/18
p. 19-24
はじめに
昨今,全国的にNICU病床の不足が問題視されている。そのようななかで,1996年に当時の厚生省児童家庭局が「周産期医療対策整備事業の実施について」の通達を出し,「周産期医療対策事業実施要綱」を制定した。そして2004年度までに全都道府県に周産期医療体制が整備されることとなった。
大阪ではNMCS(Neonatal Mutual Co-operative System, 新生児診療相互援助システム)が新生児搬送を担ってきた。NMCSは1977年に発足したが,当時,6施設の小児科医により新生児を受け入れる病床を確保することを討議して始まったボランチア活動であった。その後,大阪市,大阪府ならびに大阪府医師会の援助を受け,さらに1987年にはOGCS(Obstetric & Gynecological Co-operative System, 産婦人科診療相互援助システム)が発足されて周産期医療システムの発展に至った1, 2)。
したがって,大阪の周産期医療体制はすでに先行している形であるが,国の実施要綱とを勘案してより充実化させることが重要である。そこで,大阪での現状を知る目的で,最近の新生児搬送の動向について解析し,NICU病床の状況や今後の周産期医療体制の課題などを検討する。