主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム
回次: 8
開催地: 大阪府
開催日: 1990/01/20
p. 36-44
はじめに
妊婦のHTLV-Iスクリーニング検査には,主にATLA抗体検出法であるゼラチン凝集法(PA法)と酵素抗体法(EIA法)のいずれかが用いられているが,さらに,最近では新たな方法も開発されており,現在,その検査法には複数のものが存在している。しかしながら,いずれの検査法も確実な方法ではなく,false positive, false negativeの問題も含めて,その結果判定に苦慮しているのが現状であろう。特に妊婦スクリーニングの場合,献血者スクリーニングと異なり告知が必要となるため,false positive, すなわち偽陽性は極力避けなければならない。
そこでまず,静岡県における妊婦ATLA抗体スクリーニング成績の検討により,検査法による陽性率の差,偽陽性の問題さらには二次試験の必要性などについて検討し,さらにスクリーニングにより得られた陽性検体について,現在最も多く使用されている検査法を中心に,false positiveを避ける立場からの最適な検査方式と確実な判定基準を設定することを目的として,ウェスタンブロット法(WB法)と蛍光抗体法(IF法)による検討を行った。