抄録
LlM532はテッポウユリの減数分裂期花粉母細胞cDNAライブラリーから見いだされた葯と小胞子において高発現する遺伝子である。その翻訳産物は核移行シグナルとsigma-70 RNA-binding motifをもち、リボソーム生合成に関わるpre-rRNA processing factorである酵母Rpf2と高い相同性を有する。抗体染色およびタンパク質ゲルブロット解析の結果からLlM532タンパクは小胞子形成期初期に高発現する核あるいは核小体に局在するタンパクであることが示唆された。LlM532タンパクの核移行、細胞内局在はタマネギ表皮細胞におけるGFP::M532融合タンパクの一過的発現によっても確認された。シロイヌナズナのLlM532相同遺伝子であるAtM532も酵母Rpf2と高い相同性を示し、そのGFP融合タンパクの細胞内局在はLlM532タンパクと同様であり核小体への移行が観察された。AtM532遺伝子はシロイヌナズナゲノムに単一コピー存在し、そのmRNA発現はすべての組織で観察されたが生殖器官と根において比較的高かった。