顎癒合症は,上下顎が骨や軟部組織によって癒着している極めて稀な先天異常である.顎癒合症を伴う多発先天異常を認め臨床的にDobrow症候群と診断した2歳女児を報告する.
在胎38週3日,出生体重2334 g.生直後に開口障害があり,経鼻挿管を施行され,日齢107に気管切開術を施行された.合併異常として,右耳介欠損・外耳道閉鎖,頸部瘻孔,左耳介低形成,顎癒合症,小顎があった.頭頸部・胸部3 Dimensional CT画像(以下3D-CT画像)で顎癒合症,中耳骨形成異常,肋骨癒合,胸椎形態異常を認めた.頭部MR画像では左前頭葉に髄鞘低形成および髄鞘化遅延を認めた.2歳現在重度の発達の遅れがある.顎癒合症と合併する先天異常の特徴からDobrow症候群と診断した.
顎癒合症を伴う多発奇形症候群の鑑別は多岐に渡る.特に,胸椎・肋骨形態異常はDobrow症候群に特異的であり,予後にも影響するため,詳細な画像評価が診断に有用である.