日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第11回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: O - 29
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口述 5
「あへあほ®体操」が体幹筋群の筋機能および呼吸機能に及ぼす即時的効果
*霜野 昌博大野 大地黒澤 祝片岡 義明
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抄録

【はじめに、目的】

超高齢社会の訪れとともに,健康寿命を延伸することが求められる.健康寿命の延伸を目的とした取り組みの中で,呼気中に発声を繰り返しながらお腹を凹ませる運動である「あへあほ®体操 」を開発し,介護予防や健康増進活動を行っている.本体操は,高齢者でも習得しやすく,大人数でも取り組むことができ,ポジティブな気分の変化が得られることが利点である.しかし,「あへあほ®体操」が,加齢に伴い低下する体幹筋群の筋機能や呼吸機能に及ぼす効果は明らかになっていない.そのため,「あへあほ®体操」が体幹筋群の筋活動や呼吸機能に及ぼす即時効果を検討し,高齢者の健康寿命延伸に向けた根拠を提供することを目的とした.

【方法】

健常成人13名 (年齢30.0±14.4歳)を対象とした.対象者には,運動介入として10秒間「へ」・「ほ」と言いながらお腹を凹ませる「あヘあほ®体操」を10回3セット実施した.運動介入前後に,スパイロメータを用いて最大呼気時の努力性肺活量 (FVC),1秒量および1秒率を算出し,呼吸機能を評価した.同時に,最大呼気時の内腹斜筋-腹横筋,腹直筋および外腹斜筋 の筋活動量を表面筋電計にて計測した.筋活動量は最大等尺性収縮時筋活動により標準化した.さらに,運動介入前後の腹囲周囲径も測定した.統計学的解析として,運動介入前後での体幹筋群の筋活動量,呼吸機能および腹囲周囲径の比較に対応のあるt検定を用いた.有意水準は5%とした.

【結果】

運動介入前と比較して,運動介入後では内腹斜筋-腹横筋 (p=0.014)および外腹斜筋 (p=0.023)の筋活動量が有意に増加した.一方,腹直筋の筋活動量に有意差は認められなかった (p=0.479).呼吸機能に関して,運動介入後にはFVC (p=0.034)が有意に増加したが,1秒量 (p=0.374)および1秒率 (p=0.106)に有意差は認められなかった.さらに,運動介入後には腹囲周囲径は有意に減少した (p=0.003).

【考察】

体幹深層筋である内腹斜筋-腹横筋の筋活動量が即時的に増加し,「あヘあほ®体操」は通常の腹部引き込み運動と同様の傾向を示した.さらに,「あヘあほ®体操」は発声を伴う運動であるため,呼吸機能を示すFVCが有意に増加した.

【考察・結論】

高齢者でも習得しやすい「あヘあほ®体操」は,体幹筋群の筋機能や呼吸機能に対して即時的効果を示し,介護予防や健康増進に大きく貢献することが示唆された.

【倫理的配慮】

本研究は日本理学療法学会連合倫理審査委員会の承認 (承認番号:R05-007)を得たうえで,被験者に対して十分に説明した後に書面で同意を得た.

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