主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第43回日本臨床薬理学会学術総会
回次: 43
開催地: 横浜
開催日: 2022/11/30 - 2022/12/03
患者・市民参画(Patient and Public Involvement; PPI)は1980年代から欧米で始まり、日本においても2010年頃から「患者中心」の概念が研究領域にも取り入れられるようになった。臨床研計画を立案する段階から患者・市民の意見を取り入れることは、倫理的に配慮された研究計画の立案が期待されるだけでなく、研究の質の向上のほか、社会に貢献する研究成果を創出することが可能になると期待されている。
PPI活動の一例として、患者・市民との意見交換会を実施し、そこで得た意見をもとに自分の研究テーマの優先順位を検討することや、研究計画を練る際に、患者・市民の意見を聞いて、研究対象者の負担を減らすような研究スケジュールを決めること、説明同意文書の作成の際にわかりにくい箇所がないかどうか確認してもらう、などの方法がある。患者との意見交換会を開催するとなると、研究者の心理的なハードルが上がるが、平時に行う研究実施の際に研究参加者とのコミュニケーションを大切にすることが、患者市民参画への第一歩である。
小児科領域では、医療の中心が小児であるが故に生じる問題点が多く、小児だけでなく、保護者からの意見を取り入れることも非常に重要である。すべての意見を受け入れることは困難ではあるが、どの意見を次の研究計画に反映するかは研究者にゆだねられている。本シンポジウムでは、演者の経験も踏まえ、これからの小児科領域における患者市民参画に向けた取り組みについてフロアの皆さんともディスカッションしたい。