主催: 日本臨床薬理学会
腎排泄型の薬物や腎機能に影響を与える薬物は、患者の腎機能に応じてその投与量を調節する場合がある。しかし一概に、"腎機能"と言ってもその指標は多様である。臨床試験において様々な指標で腎機能が分類されるために、添付文書においても、患者のクレアチニンクリアランス(Ccr)、Cockcroft-Gaultの式の推定Ccr、推定糸球体濾過速度(eGFR)、体表面積1.73m2あたりのeGFRのどれもが記載されている。また、古くから発売されている薬剤では、現在使用される酵素法ではなくJaffe法(血清クレアチニン値は酵素法で求めた値より約0.2mg/dL高値となる)で測定されたクレアチニン値より算出したCcrで考える場合もある。近年、処方箋への検査値の記載やCKDシールの活用などが進み、院内チームのみならず、診療所や保険薬局等とも連携した地域全体での腎機能に基づく薬物投与マネージメントの取り組みが広げられている。地域チーム医療において腎機能に基づく薬物投与マネージメントを機能させるためには、腎機能の指標について正しく理解し、添付文書を正確に読み解くスキルが必要である。本教育講演では、腎機能の指標について概説し、添付文書を読み解く際の注意点を解説する。