抄録
医原性リスク低減戦略対策を組み合わせたABCDEバンドルが,近年,医療の質の向上と安全のリスク軽減を期待して導入されつつある.ABCDEバンドルの実施において,医療スタッフ間で共通認識するためには,適切な鎮静モニタリングやせん妄モニタリングに有用であり,かつ,客観的に評価が可能なアセスメントツールが必要である.2007年12月に日本呼吸療法医学会より発表された「人工呼吸中の鎮静のためのガイドライン」において,鎮静スケールのRASSとせん妄の評価のCAM-ICUが推奨されている.今回,76施設の現状調査結果から,RASSについては周知されている現状がうかがえたが,CAM-ICUについては,導入している施設はわずかであった.これまで,早期離床や早期リハビリテーションは看護レベルでもすでに実践され,医療チームで取り組んできている施設は多い.最初に,ABCDEバンドルの認知度を高めることが必要であることが示唆された.