2014 年 24 巻 3 号 p. 332-335
肺高血圧の治療(肺血管拡張薬,利尿薬)が原因で安静時の低血圧を呈し,離床に難渋した肺高血圧合併の慢性閉塞性肺疾患の一症例を経験した.理学療法施行においては血圧設定を行い早期から離床を試みたが,安静時の低血圧・起立性低血圧で離床が進まなかった.しかし,肺高血圧治療薬の中止後,安静時の低血圧が改善し,段階的に離床を進めることができ,心不全の悪化なく自宅退院にいたった.肺高血圧治療薬を使用している場合は低血圧に留意し,また低血圧を認める場合でもバイタルサインに応じて,運動療法を継続することが重要である.