日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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シンポジウム
タバコに対する認識のギャップは埋まるのか?
吉井 千春
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2024 年 32 巻 2 号 p. 125-129

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抄録

【背景と目的】喫煙率は低下傾向にあるが,未だに喫煙を擁護する人達がおり,社会の禁煙推進の障害となっている.喫煙擁護側と禁煙推進側のタバコに対する認識のギャップを検証する目的で,加濃式社会的ニコチン依存度調査票(KTSND)による研究をレビューした.

【結果】KTSNDは10問30点満点で社会的ニコチン依存が高いほど高得点になる.喫煙状況別の得点は,非喫煙者<前喫煙者<喫煙者であった.敷地内禁煙に反対する人や,喫煙者に対して禁煙の指導や助言を行わない人では高得点を示した.受動喫煙を気にしない非喫煙者も高得点になった.一方喫煙しにくい職場では得点が低い傾向を示した.未成年者に対する防煙・禁煙教育は直後にはKTSNDが低下したが,長期的効果は不明であった.

【結語】このギャップを埋めるためには,吸いにくい環境を広げるなど社会的ニコチン依存を凌駕する対策を継続的に行う必要がある.

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© 2024 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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