2022 年 47 巻 1 号 p. 22-30
目的:若年健常者における拡張期左室内渦流の特徴をvector flow mapping(VFM)を用いて検討した.
対象と方法:健常成人28人(男性16人,平均年齢22±1歳)を対象とし,心尖部左室長軸像にてVFM解析用画像を記録した.渦流の定性および定量はCirculation(m2/s)を用いた.拡張期を早期,中期,心房収縮期に分け,左室内渦流の出現部位と出現率を観察し,Circulationと心エコー図検査の各計測値との関連を検討した.
結果と考察:拡張期における渦流は,拡張早期の僧帽弁前尖側で28人,後尖側で23人,拡張中期では左室中央に一つの渦流が19人に認められ,心房収縮期の前尖側に19人,後尖側で1人のみに検出された.拡張早期のCirculationは前尖側が後尖側に比べ有意に高値であった(p<0.001).また,拡張早期前尖側のCirculationはE波速度,E/A, e′と,後尖側はE波速度,E/A, e′と有意な相関を示した.一方,拡張中期および心房収縮期前尖側はいずれの項目とも有意な相関を認めなかった.若年健常者において拡張期左室内渦流の出現率は時相によって異なり,拡張早期の渦強度は左室弛緩能と関連していた.
結論:VFMで可視化した若年健常者の拡張期左室内渦流は特徴的であり,新たな左室弛緩能評価に応用できる可能性が示唆された.