抄録
システムや製品とユーザの関係を直接観察することにより問題点やニーズを抽出する方法を直接観察手法という.本研究の目的は,この直接観察手法を行う際に,どのような観察ポイントから観察を行えばよいのかを抽出することである.研究は次のような順で実施した.まず様々な製品・システムや,施設を利用しているユーザを観察し,そこから得たデータをもとに観察ポイントの抽出と構造化を行った.次に,抽出した観察ポイントに基づく観察手法の考案と実践を行った.抽出した観察ポイントは大きく「ユーザの行動に着目する」「システム・製品に着目する」「ユーザとシステムのインタラクションに着目する」「ユーザが残した痕跡に着目する」の4項目に構造化することができた.また,構造化した観察ポイントに基づき,アソシエーションルールやシングルケース実験計画法を活用した観察手法を考案し実践することで,今回抽出した観察ポイントの有効性を検証することができた.