抄録
本稿では昭和40年代以降すなわち昭和後期の我が国扇風機のデザインの変遷に関し、三菱電機のデザイン開発事例をもとに考察し、以下の事情について概観した。
昭和後期は、我が国扇風機の成熟期に相当し、普及率が頭打ちの状態となった時代である。各社の扇風機のデザインは、非常に似通ったものとなった。そんな中、同社において市場を喚起する約割を担ったのが、「扇風機のコンパクト化」に関する提案であった。扇風機を分解梱包し、使用しない時にはコンパクトに保管できるアイデアを「コンパック」とネーミングし消費者に大いにアピールした。扇風機本体の形状を変化させる工夫を施しさらにコンパクトにするアイデアは継続的に研究され、「オレオレ」として花開く。他社がスイッチ部の電子コントロール等の開発に血道を上げている間に、同社はダイナミックな外観の変化を優先することにより差異化を図った。