抄録
概念(コンセプト)は、デザインの実際の過程においては、 その形象化のプロセスを支配するものとして、中心的な役割を果たす。デザインは、製品の目的としての実用的な機能を 実現するために、概念設定から始まり、それを実現する手段として具体的な形象化へとすすむ機械的技術であるだけではない。デザインは、製品を取り巻く環境や製品の素材の感性的で潜在的な機能を調和させ、最適化する美的な技術でもある。機械的であると同時に有機的、概念的であると同時に感性的という、デザインを特徴付ける両義性のうちで、概念を適切に定義することが問題なのである。本論はこうした問題意識からデザインにおける概念の役割を考察する一助として、ドゥルーズとガタリの概念論を検討し、それをデザインの領域に転用することを試みる。著者たちの概念論は、感性的諸要素に対する概念的包括のみでなく、同時に概念に諸要素の質的側面やその価値強度を反映させ、しかも環境のうちでの動的な生成を定義するという点で、一般的な外延的概念論から際立っている。