自然物と人工物から生じる印象は、これらのオブジェクトに対して生じる人間の認識を規定していると考えられる。したがって,これらの印象は、新たにデザインされるプロダクトの有用性を示唆すると思われる。本研究は、自然物と人工物から受ける印象の基本的な違いについて検討した。アンケートにより、オブジェクトから受ける自由な印象を日本国内の地域別に収集し、詳細な分析を行った。その結果より,自然物と人工物の印象は、その素材、構造および地域性に基づいて形成されることが確認された。自然物として評価されたオブジェクトから生じた印象は、より多様で、緻密な構造を持っていた。人口密度の高い地域では、自然物と人工物間の違いが大きかった。自然物と人工物から受ける深層にある印象の特性の中に,新しいオブジェクトをデザインする上での人間の創造性の手がかりを得ることができる。