抄録
今日、プロダクトデザインにおいては、その意匠に注目がおかれる事が多い。しかし、見た目の格好良さで製品を購入したものの、いざ使用してみると使い勝手が悪いという製品もある。特に、手に持って使用する製品の快適性には、持ちやすさや触り心地の果たす役割が大きいと考えられる。本研究では「手になじむ感覚」とは何かを探ることに目的を置き、握った際に得られる良い印象の一つとして「手になじむ感覚」とし、筆者が「手になじむ」と考え作成した1つの形状モデルを種類の異なる素材によって複製し、その素材の評価を評価グリッド法を用いて行い構造化して比較した。その結果、「安心する」、「不安だ」といった上位概念が多く抽出され、プロダクトの硬度が、握った際に安定感をもたらし、ユーザーを安心させるという要素になっている反面、被験者によっては、不安感ももたらす可能性があるという考察を得た。また、素材の「表面」について「気持ち悪い」につながる中位概念、「硬さ」と「重さ」について「冷たい」と「疲れる」という上位概念につながる中位概念が集中していることから、これらについてはネガティブな印象を与える可能性が高いということが示された。