日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会 第63回研究発表大会
セッションID: PD-06
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「泥咕咕」の素材採集と生産・流通
中国河南省浚県楊玘屯における実態調査を中心として
王 寧植田 憲
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抄録
泥咕咕は楊玘屯の内部だけではなく、楊玘屯と近隣の村との間に、文化交流や物流を増進させる役割を備えている。泥咕咕に関わる道具作りや制作過程は、近隣集落のさまざまな材を調達しながら行われた。また、廟会での残りものの販売は主に物々交換で行われてきたが、その中で泥咕咕は貴重な地域通貨として機能している。泥咕咕の道具や、資源の調達を含む一連の制作過程の中には一物全体活用の優れた知恵が多様にみられ、今日に至るまで継承されている。 制作は家族単位であり、口伝により親から子の世代へと受け継がれてきたが、この継承方法が、一物全体活用に不可欠な材に対する観察と体験の蓄積を促している。「楊玘屯の水を少しさえ飲めば、泥咕咕ができる。楊玘屯のご飯を一回さえ食えば、泥咕咕ができる。」と当地に歌えられる民謡のように、代々、楊玘屯で暮らす村民は、現代においても幼少の頃から知らず知らずのうちに気候風土で見聞きしたことの影響を受けて、自由にごく当たり前のように泥咕咕を作っている。  総じて、泥咕咕が長らく当該地域に存続してきた理由は、当地に経済的収入をもたらすものであるよりも、まず集落の「顔」と自由な精神の現れとして集落や近隣地域を賑わす、発展に向けた掛け替えのない動力として親しまれてきたからである。
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© 2016 日本デザイン学会
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