筆者はこれまで青森県の中小企業と連携して食品商品を開発するPBL授業を実施してきた。授業の主な狙いは、ユーザの本質的欲求を満たすデザイン手法の修得であったが、プロジェクトを推進するための熱源を育てられないことが課題であった。全ての学生が学期終了に伴い課題(プロジェクト)を終了させてしまう背景には、「自分は何をしたいのか?」というデザイン活動の熱源(パッション)を内省せずに、ユーザや市場という見知らぬ存在のためにデザインする活動そのものが影響を与えているのではないかと考えた。そこでデザイン手法の修得を優先的な到達目標とするのではなく、内省を通じたデザイン活動の熱源づくりを到達目標とする教育プログラムに切り替えた。本稿ではこの教育プログラムを振り返り、学生のデザイン活動に与えた影響について考察する。