手書きの文字の形に着目することで見出した、相互理解を促す文字コミュニケーションの可能性について記述する。本研究の背景には、近年の複雑な社会問題を解決するためにデザインの力が求められている社会情勢がある。専門家と非専門家が垣根を超えて共創を行う際、他者の専門分野への過度な尊敬と遠慮が相互性と信頼の妨げになる場合がある。筆者はこの過度な尊敬と遠慮が生ずる要因は専門性による分業制度だと考え、分業ではなく互いに専門性を持った個人として接し共に問題に取り組む姿勢を育むことで、円滑に共創をスタートさせられる可能性があると考えた。上記を背景に2020年札幌市立大学で、専門性より先に個人があることを互いに受け入れるためのツール制作を目的として一人称視点から自らの専門性を語る学部研究を行った。その結果、手書きの文字を利用した表現ワークショップである「浮書きワークショップ」を発案した。同大学で「浮書きワークショップ」を実施したところ、文字を相手と共に描き癖を観察することで互いの役職や専門性を相手の人生の一部要素として受け入れる会話が見受けられた。本発表では「浮書きワークショップ」の実践結果を報告する。