抄録
生成AIはデザイン業務の効率化などに寄与する可能性が高い一方,AIをデザインプロセスに取り入れることにより成果物が均質化することなどが報告されており,弊害も多いと予想される。名古屋市立大学とスズキ株式会社デザイン部は生成AIの可能性とリスクを調査するために,芸術工学部のB1からM1の学生17名を対象にした,生成AIをプロセスに組み込んだカーデザインワークを実施した。そして,1ヶ月半のデザインワーク終了後にそれらを実施した学生17名と,指導したスズキデザイン部のスタッフ7名を対象にしたアンケート調査を行った。その結果,コンセプトワークに言語生成AIを活用したことよってアイデアの幅が広がると感じたか否かの設問では,下級生になればなるほど言語生成AIによってアイデアが広がると回答していた。さらに,スタッフアンケートの同様の設問の回答結果は学生アンケートの結果とは異なり,全体的に言語生成AIによってアイデアの幅が狭まると評価していた。これらの結果により,デザイナーとしてのスキルが上がる程,AIによる情報統合が思考の制約になっている可能性が示唆された。