抄録
生業を中心に「遊び」の領域まで多様に存在していた、かつての伝統的な人間の自然とのかかわりのあり方における、文化的、宗教的な側面と、社会的、経済的な側面の不可分性に注目しつつ、現在の環境問題に現れているように、その二つの側面が切断されているあり方を問いなおし、自然との関係で新たなつなぎ直しをするために、「科学」教育がいかなる役割をしてきたか、あるいはしていくかということを論じた。その時に重要なのは、「科学」のあり方であり、「科学」が、いままでの自然との多様で全体的なあり方においてどのような位置づけにあるのか、どのように組み換えていくべきであるかを今回の議論で考えたい。この問題は、環境問題における社会的公正の問題とも密接に結びついている。