オレオサイエンス
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総合論文
共役型リノレン酸 (CLN) によるガン予防
宮下 和夫
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2002 年 2 巻 6 号 p. 333-338,330

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抄録
共役リノレン酸 (CLN) はニガウリ, ザクロ, キササゲといったある種の植物種子油中に多量に含まれている。例えば, ニガウリ種子油は9シス (c), 11トランス (t) 13t-CLN異性体を60%以上含有している。このようなニガウリ種子油 (BGO) は化学的に誘発されたラット大腸の異形陰窩 (ACF) の発現を有意に減少させた。また, BGO投与により発ガンプロモーターであるPCNAの有意な減少とACFにおける細胞死が観察された。これらのことより, BGO中のCLNがガン予防効果を有することが示唆された。CLNは培養細胞系においても各種のガン細胞に対して増殖抑制作用を示した他, 大腸ガン細胞においてはガン遺伝子であるc-myc遺伝子の発現も抑制した。BGO投与で観察されたガン抑制効果は, 培養細胞で見られたこうしたCLNの作用と関連があるものと思われた。さらに, ラットやマウスにBGOを投与すると相当量の9c, 11t-CLA異性体が肝臓脂質中に検川された。9c, 11t-CLAは抗ガン活性を有することが知られており, CLNの抗ガン作用は生体内でCLNから誘導されたCLAに起因する可能性も考えられた。
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© 2002 公益社団法人 日本油化学会
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