抄録
科学技術の進歩と社会の成熟の中で, 人間存在への知的欲求というパラダイム・シフトが急速に起こっている.そして, 哲学や心理学といった従来の枠組みではなく学際的な脳科学という形でその知見のグローバルな蓄積が進みつつある.同時に教育を取り巻く社会状況としては, 臓器移植と脳死問題, 長寿化と痴呆症増加, 高度社会ストレスと心の歪み, 頭の健康とドラッグ汚染, そして社会の硬直化した知能観など, 脳に関する正しい知識と理解抜きでは語ることもできない課題が増えている.そこで本研究は, これからの教育における脳リテラシーの重要性とそのカリキュラム開発について検討するものである.