抄録
認知科学の新たな視点から学習を見直し,対話と協同を生かす理科授業デザインを構築した。この授業デザインの特徴は,次の2つの点である。第1点は,教師が生徒一人ひとりの思考を大切にするとともに,生徒たちが討論や実験の過程で対話と協同によって他者と関わりながら知識の意味づけを行うという点である。第2点は,生徒と教師によるメタ認知的な反省的思考や疑問・追究課題などを含んだ「授業の振り返り」を行い,それを生かして教師が引き続く授業のデザインをするという点である。本研究では,中学生の粒子概念形成過程を事例に,刻々と変化し続ける「授業デザイン」による実践を行った。