抄録
中等教育の危機が叫ばれて久しい、最近では学力低下問題がクローズアップされている。一方、小・中学校は昨年度から、高校は今年度から新教育課程が実施された。新課程では、学校5日制や総合的な学習の導入などにより、教科学習の時間数が削減され、指導内容も大きく精選されている。学校現場では、新教育課程をどのように編成していったらよいか、あるいは、各教科で具体的にどんな内容を、どのような指導方法で授業実践していったらよいかなど、試行錯誤をしているのが現状である。このような混沌とした状態の中で、理数嫌いがさらに増えていくことは誰もが予想できることである。しかし、学校現場の工夫で、これをなんとか歯止めしたい。これは、数学教師なら誰でも考えていることであろう。ここでは、中等教育の現状を報告し、学校現場の工夫の一例として、中・高の連携を考えた数学科中高一貫カリキュラムの編成と、生徒が主体的・意欲的に学ぶ授業づくりの提言をし、今後の数学教育のあり方を探りたい。